残業代対応FAQ

残業代の遅延損害金とはどういうものですか?

 残業代に未払があった場合、賃金支払日の翌日から遅延損害金が発生します。
 遅延損害金の利率は、株式会社、有限会社などの営利を目的とした法人は年6%、社会福祉法人、信用金庫等の営利を目的としない法人は年5%です。
 ただし、退職後の期間の遅延損害金については、年14.6%という高い利率になる可能性があります(民法419条1項、賃金の支払の確保等に関する法律6条1項、同施行令1条)。
 厚生労働省で定める事由に該当する場合には、その事由の存する期間については、賃金の支払の確保等に関する法律6条1項、同施行令1条は適用されませんが、従来は、当該事由に該当するかについて裁判で争点になることはそれほど多くはなかった印象です。しかし、会社経営者側としては、厚生労働省で定める事由に該当する可能性があるような事案であれば、しっかり主張すべきだと考えます。特に、「支払が遅滞している賃金の全部又は一部の存否に係る事項に関し、合理的な理由により、裁判所又は労働委員会で争っていること。」に該当する場合は、それなりにあるように感じます。民事訴訟では弁論主義が適用されますが、会社が厚生労働省で定める事由の存在を主張しさえすれば立証が容易で割増賃金の遅延損害の利率を下げられるような事案であっても、会社側が主張すらしなければ、そのまま14.6%という高い利率が適用されてしまいます。
 弁護士藤田進太郎が使用者側代理人を務めた事案の東京地裁平成23年9月9日判決は、賃確法施行規則6条4号にいう「合理的な理由」の存在について以下のとおり緩やかに解釈して「賃確法6条2項、同法施行規則6条4号にいう「合理的な理由」には、裁判所又は労働委員会において、事業主が、確実かつ合理的な根拠資料が存する場合だけでなく、必ずしも合理的な理由がないとはいえない理由に基づき賃金の全部又は一部の存否を争っている場合も含まれているものと解するのが相当である。」と結論付けており、本件における未払割増賃金に対する遅延損害金の利率も、商事法定利率(年6%)によるべきものとしています。