残業代対応FAQ

裁量労働制とはどのような制度ですか?

1 裁量労働制とは
 裁量労働制には、専門型裁量労働制と企画業務型裁量労働制の2種類があります。いずれも、労基法上の要件を満たせば、実労働時間にかかわらずみなし労働時間が1日の労働時間となります。ただし、法定休日に労働させれば休日割増賃金の支払が、深夜に労働させれば深夜割増賃金の支払が必要なことに変わりはありません。
 専門型裁量労働制と企画業務型裁量労働制には、それぞれ適用対象業務が限定されており、労基法所定の要件を満たさなければ効力が生じません。

2 みなし労働時間
 裁量労働制のみなし労働時間は所定労働時間みなしとすることが多いですが、実態に合ったみなし労働時間とすることをお勧めします。これは単に労基署対応が楽になるというだけの話ではなく、追加で残業代を支払わなければならなくなるリスクを相当程度軽減することができるという民事上のメリットがあります。
 例えば、実態として1日9時間労働しているような場合に、裁量労働制が要件を欠き無効と判断された場合、所定労働時間みなしだと1日あたり1時間分の時間外割増賃金が未払となってしまいますが、1日9時間みなしであれば、発生した時間外割増賃金のほとんどをカバーすることができるというメリットがあります。

3 裁量労働制適用労働者の遅刻・早退・欠勤
 裁量労働制は、出勤・欠勤も自由で、時間中の私用外出や職場離脱も自由と考えられやすいですが、フレックスタイム制のフレキシブルタイムのように出退勤が自由というわけではなく、あくまで使用者の労働時間の管理・算定を免除したにすぎません。
 裁量労働なので、使用者は具体的な仕事のやり方や働く時間について、大幅に労働者の判断に委ね、具体的な指示命令を行わないことにはなりますが、裁量労働従事者にも始業・終業時刻、所定労働時間は存在します。
 遅刻や早退が多い裁量労働制適用労働者に対しては、注意・指導し、それでも繰り返される場合には懲戒処分を検討することになります。ただし、労使協定で定めた時間は労働したものとみなされる以上、裁量労働の範囲であれば、賃金カットはできないのが通常です。
 欠勤については、裁量労働制の適用労働者に自由欠勤をする権利はなく、当日は裁量労働に従事していないことから、みなし規定の適用の余地はなく、賃金カットをすることができます(完全月給制の場合はできません)。また、裁量労働制の適用労働者が所定の手続を踏まずに欠勤し、注意しても改善されない場合は、遅刻・早退のケースと同様、懲戒処分を検討していくことになります。