残業代対応FAQ

残業代に加えて請求される付加金とはどういうものですか?

1 付加金とは
 裁判所は、労基法37条に定める割増賃金(残業代)を支払わなかった使用者に対して、労働者の請求により、未払残業代に加え、これと同額の付加金の支払を命じることができます。
 裁判では、未払残業代と同額の付加金の支払が命じられることが多いですが、付加金の支払を命じるかどうか、付加金を減額するかどうかは、裁判所の裁量に委ねられていますので、付加金の支払を命じるのが相当でない事情があるのであれば、その旨主張立証しておくようにしましょう。

2 任意交渉の段階で労働者代理人弁護士から付加金を請求された場合
 付加金の支払義務は「判決」で付加金の支払を命じられて初めて発生するものですので、未払残業代があるというだけでは、付加金を支払う法的根拠が存在しません。
 任意交渉の段階で、労働者代理人弁護士から未払残業代のほかに付加金も払えと要求されたとしても、その付加金の請求には法的根拠がありませんので、付加金の支払要求に応じる必要はありません。
 これは、合同労組との団体交渉で付加金を要求された場合も同じです。

3 付加金の除斥期間
 付加金の請求は、違反があったときから2年以内にする必要があります。この期間は消滅時効期間ではなく除斥期間ですから、内容証明郵便等で残業代請求されても中断せず、除斥期間を遵守するためには、付加金を請求しようとする労働者は、労働審判を申し立てたり、訴訟を提起したりしなければなりません。

4 労働審判手続における付加金の請求
 労働審判委員会は裁判所ではありませんので、労働審判手続において付加金の支払を命じられる余地はありませんが、訴訟に移行した場合に備えて、除斥期間を遵守する目的で、労働審判手続申立書に付加金の支払を請求する旨記載されているのが通常です。

5 付加金の支払を回避する方法
 訴訟において、事実審の口頭弁論終結時までに未払残業代全額を支払い、その旨主張立証した場合は、判決で付加金の支払を命じられることはありません。他方、事実審の口頭弁論終結後に未払残業代全額を支払ったというだけでは、判決で支払を命じられた付加金の支払義務を免れることはできません。
 一審判決で付加金の支払を命じられた場合であっても、控訴して判決で支払を命じられた未払残業代全額を確定的に支払い、控訴審の口頭弁論終結時までにその旨主張立証すれば、控訴審判決が一審判決より増額された未払残業代を認定しない限り、付加金の支払を回避することができます(控訴審判決が一審判決より増額された未払残業代を認定した場合は、増額部分について付加金の支払を命じられる可能性はあります)。